筋湯1

2019/05/06

 


 

 いつも通っている芝居の湯にもあるのだが、湯滝。

 

 前に柴石温泉のところで書いたのだが、昔別府の柴石温泉には湯滝があった。大正11年に撮影された街道沿いに設置された湯滝の写真が次だが、

 

 画像:画像:「ふるさとの想い出写真集 別府」P22

 

 

高さは3mほどもあろうか。流れ下る湯滝に打たれて湯客は実に幸福そうな顔をしている。

 

 この柴石温泉の湯滝は湯滝の背後の道が拡張されて湯滝が川の方に押し出されて、現在は使われなくなっている。残念だ。

 

 ほかに鉄輪のひょうたん温泉のなかにも湯滝があるのだが、現在は改築中で、使用できない状態が続いている。

 

 実は私の通っている芝居の湯にもか細い湯滝が二本設えてある。私は芝居の湯では必ずこの湯滝で背中を叩いてもらい、首筋を叩いてもらい、良い気持ちにさせてもらっているのだが、滝の高さが高くないから衝撃度が小さい。私の求めているのは太い湯滝で、落差の大きいもので、衝撃度が大きくて、マッサージ効果の大きい湯滝なのだ。

 

 

 

 温泉のことなら日本一という大分県であるから、どこかにあるはずだと思って探したら、あった。筋湯温泉にあった。

 

 画像:豊後中村駅前の観光案内図 赤色の矢印が筋湯温泉。

 

  場所は大分県で、別府市からは直線距離にして40kmしか離れていないのだが、車を持たない私にすれば大変に遠い田舎にある。まず別府市から亀の井バスで湯布院に来て、ここでJRに乗り換える。上の地図で見る通り、湯布院まではJRを使わずバスで来るほうが地勢的に合理的なのだ。

 

 写真:由布院駅で出発を待つ久留米行きと大分行きの二台のディーゼル車。由布院駅が久大線では主幹駅であることを示す。事実湯布院は外国人観光客で満員だ。湯布院には馬が曳く馬車も走り、人力車がタクシー顔で街道を走る。異国情緒満載だ。

 

写真:ディーゼルカー内部。東京大阪近辺の電車とは違い、個性的である。これが九州JRスタイルというもの

らしい。

 

 

湯布院からJRで豊後中村まで二駅乗り、ここで九重町(ここのえまち)のコミュニティバスに乗り換える。筋湯は豊後中村駅出発のコミュニティバスに乗らなければ辿り着けない辺鄙な高原地帯にある。別府を朝の8時に出発して、筋湯に到着するのが、10:40ですからなんと別府から2時間40分もかかるのです。平均時速15kmのノロノロ自動車でたどり着く山間僻地という感じですね。なお、平日のコミュニティバスは筋湯までの便がありません。土曜、日曜、祝日にだけ筋湯にたどりつけるのです。

 

 写真:豊後中村駅。右下に湯布院から乗ってきた・ワンマンカー。左に「藁葺き屋根」の豊後中村駅。とてつ

もなく辺鄙な田舎駅という感じ。電化されていないことに注目。

 

 これが自分で車を持っていて自分で運転してくれば、まず1時間で簡単に到着するでしょうね。ま、老人イジメの典型的観光地ということでしょうか。

 

 なに、私のような温泉マニアでなければ、誰がこんなところに来るものですか。

 

 標高は別府市が標高5m、由布院駅で453m、豊後中村駅で436m、筋湯で965mですから、筋湯は高原地帯といえるでしょうね。

 

 

 この高原地帯に一体なにがあるのかって? むかしからこの筋湯には湯滝があったのです。昔は病気は医者にかかるか、あるいは温泉療法だったのですが、湯滝は腰痛に効果があったのでしょう。だから、農家の人で年寄りは腰痛持ちが当たり前でしたから、この筋湯に来て腰を湯滝にあてて治療したのです。

 

 

 一律料金500円のコミュニティバスで山の中の筋湯にくると、ちっぽけな停留所でとまります。

 

 写真:九重町コミュニティバスの筋湯停留所。バスは更に右手の坂道を登り、牧ノ戸峠へ向かう。

 

  さて、これでやっと筋湯温泉に着きました。ここが私の目的地なのです。