五所川原・金木1

2022/01/26

 さて、酸ヶ湯のお風呂にはたっぷり浸かった。これで思い残すところはない。そう思って今日はなにをするか、考えたのだが、一人で知恵が沸いて来る筈はない。酸ヶ湯の小笠原さんという年配のおじさんにお話しを伺ったら、五所川原だね、という一言で、行先は決定した。小笠原さんが時刻表を持ち出して、五所川原とその先にある金木へのルートを解説してくださった。

 

注:この時刻表が正しいとすると、私の乗ったのは次のはずだ。

                 酸ヶ湯送迎バス                     酸ヶ湯                      9:20       10分ばかり早発

                                                           青森駅前                 10:20       10:10頃着

                 弘南バス                              青森駅前                 10:23

                                                           五所川原駅前           12:00       15分ばかり早着

                 津軽鉄道                              津軽五所川原          11:50       ストーブ列車

                                                            金木                       12:20

 

 

 五所川原へ行くとなると、JRの場合、JR奥羽本線でまず川部という駅へ行き、五能線(五所川原駅の“五”と能代駅の“能”)に乗り換えて五所川原へ行くか、あるいはバスで青森駅から直接に五所川原へ行くか、どちらかだという話だった。上の地図で見る通り、101号線で行けば、三角形の一辺を辿ることになるから、まあ、青森駅で調べることだな。・・・という話だった。

 

 

 そこで酸ヶ湯の送迎バスが青森駅に着くなり、弘南バスの停留所へいったら、なんと5分ほど待てば、五所川原行が出発するではないか。ラッキー、と喜んで、早速バスに乗り込んだ。

 

写真:青森駅前バス停にある弘南バスの時刻表。

私は10:23発の五所川原行に乗車した。

 

 

 このバスは路線バスで各停留所で停車しながら進むのだが、約一時間半で津軽五所川原に到着する。料金は\1,010。津軽鉄道五所川原駅はJR五所川原駅とつながっており、川部駅から到着した客は駅の外に出ることなく、乗り換えすることができる。

 

 こういう至極単純な知識がわたしには面白くてたまらず、私は始終ワクワクしていた。

 

 

 さらに、たまたま数分後にエントツ列車が五所川原駅を出発するという絶妙なタイミングでこのバスは到着した。私は急いで切符を買って、跨線橋を渡ってエントツ列車に乗り込んだ。まるで私の背後に神様が附いているような気持ちがした。なにしろ、一日に二本しかない煙突列車に待たずに乗車できるというのだから。

 

 

 スイカが普通の時代に、「硬券」が貰えるというのもノスタルジックだねえ。

 

 

 列車は二両編成で前方に気動車が、後方にエントツのあるエントツ車両が連結されている。後方の車両にエントツが二つ付いているのが見えるでしょう。

 

 

 入り口に石炭やら、消火器やら、アルコール消毒器やらが置かれた物置があり、

 

 

 室内になるほどストーブがあり、乗客は干し烏賊を一杯\500で買うと、女子の案内人が金網の上で焼いてくれる。ストーブ列車券が\500で、干し烏賊が\500で、金木駅行の切符が\560なのだから、津軽鉄道はいい稼ぎになるのだろう。

 

写真:エントツ列車内の私。この上に青色のモンベル羽毛ヤッケをきているのだが、ヤッケは暑いので脱いでいる。それにしても、干しスルメが一杯\500は高いなあ、と考えながら。

 

 

 出発直後に背後に岩木山と防風柵がみえたが、その後はただ真っ白な雪の平原ばかり。

 

 

 約30分ばかり走って、乗客がスルメ齧りにも飽きてきた頃、ようやく金木駅に近づいた。

 

 

 金木駅に近づくと、斜陽館の赤い屋根が見える。

 

 ここが日本最果ての地「津軽」なのですね。私の目にはどんよりした風景で特に目を惹くのは、あの赤屋根しかありません。

 

 

 列車は金木駅に到着しました。

 

 

 御覧のようにこの列車は、前に”走れメロス“号という名前の気動車が牽引車として、旧国鉄時代の客車を改造した”ストーブ車“を牽引しているのです。

 

 

 このストーブ列車券は後ろに連結されたストーブ車両に乗車するための特別券なのです。昔は旧式のディーゼル機関車が客車二両を牽引していたのでしょうが、今は“走れメロス”号が動力車となっています。私にとってはこの旧式の硬券のほうが興味がありました。まるで私が小学生の頃に戻った気持ちにさせてくれるからです。

 

 

 懐かしいのは他にもありますよ。

 

 

 金木駅舎のなかに見える通信装置とおぼしき木製の赤い箱、その上に無造作に投げ置かれたタブレット。もう古くて擦り切れています。このあたりは単線なので、このタブレットが単線区間の通行権を表象していたのです。

 

 

 現在このタブレットは津軽鉄道でも使われてはいません。この写真で見られるようなタブレット棒にとって代わられています。が、それでも通行権を表象するタブレットが幅を利かせているのです。これだから津軽鉄道は面白い。全国から鉄道マニアが押しかけてくるわけですね。私はもうノスタルジアの塊になってしまいました。70年前の自分をとりもどした感じになるのです。