Daniel Silba

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 年金生活者の私が、哲学関係の仕事を終えて、することがなくなって、今現在しているのは読書である。


 私は朝8時から卯辰山の散歩に出かけ、10時あるいは10時半には家に帰ってくる。ちょっと早い昼食を食べ、ごろりと横になると約2時間寝る。いつも1時には昼寝を終えて起きるのだが、年金生活者にとって大事なのはそれ以降の時間の潰し方である。

 

 私は金沢市泉野図書館に英文のハードカバーの棚が一つあるのを見つけ、ここから本を借りてきて読むことにしている。私のほかには誰も借りる人がいないようなので、この本棚は私専用のような感じで利用している。貸し出し中の本に出くわしたことは一度もない。


 ハードカバーとは英国・米国で発刊される初版本で一辺が23.5cmもある大型本である。これが売れてベストセラーとなると、安い縮刷版(ペーパーバック)が売り出される。昔は私も費用の関係でペーパーバックを読んでいたのだけれども、今は老眼となり、小さい活字はよめないので、ハードカバーを読む以外に方法はなくなっている。ハードカバーは一冊が3,500円とか、5000円もするから、年金生活者では簡単に読み捨てることができない。だから金沢市泉野図書館のハードカバー書棚は、私にとって宝の山である。


 最近読んで面白かったのは、ユダヤ人が書いた小説Daniel Silva "The Black Widow"。きびきびとした口調で論理的に欧米の政治事象の背後関係を説明するから、ニュースの裏側事情が手に取るようにわかる。こういうスパイ小説は日本には絶対にありえない。

 

                                                              Daniel Silva "The Black Widow"

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 また、欧州と中東の各地を主人公が歩くと、街の様子が手に取るように描写されていて、映画を見ているようなリアル感を味わえる。私はこれまで欧州の街をよく歩いてきたほうだから、とても懐かしい。彼の本は読んでいてあきることがない。わくわくするような楽しさがある。


  最近読んでいるのは、この三冊。


         The English Girl, 2013
         The Fallen Angel, 2012

         The Rembrandt Affair, 2010


 ユダヤ人が書いたユダヤ諜報機関の物語だから、エルサレムの街の描写も懐かしいし、パレスティナ問題も徹底的に分析されているからこれも楽しい。現実感とスリルで満ち溢れている。楽しい。

          画像:Googlemap, 2017