内成棚田

2021/12/07

 

 今日は快晴で、昨夜はたっぷり睡眠もとった。気温は6℃でこれも快適で、長時間のハイキングには快適な条件だ。

 

 そこで朝7:30、家を出て、南方向へ歩き始めた。ホテル白菊の横を八幡朝見神社の方角に歩くのだ。この時間帯は学校へ通う小学生で通りは混雑している。

 

 八幡朝見神社境内の横を抜け、急勾配の坂を登り、浄水場入り口まで登った。最近浄水場は施設改良工事を行っているから、大型のコンクリート・ミキサーが来て通りをふさぐので、交通整理員が多数配置されて、人手による信号で交通渋滞を防いでいる。

 

 私は、浄水場まで登ってきたので、お駄賃でもいただけないかと周りを見渡したら、浄水場入り口にバス停がある。上畑というバス停である。ここでバスの時刻表を見たら、8:09に内成行のバスが来ることになっている。待ち時間は5分間。そこでこのバスに乗った。内成というのは、東別府の山の上から高崎山の西側を抜けて南方向に(過疎の)山間に入った山間部である。

 

 バスの客は私一人きり。

 

 

 河内トンネルの上部あたりから振り返ると、鶴見岳から別府湾を見渡す絶景パノラマが見える。私はこの日、カメラを持参しなかったので、皆さまにお見せできないのが残念だ。

 

画像:2020/05/05撮影。宝満寺から撮影。東別府を俯瞰する。

画像:2020/05/05撮影。別府狭間線河内トンネルの上が左端に映っている。

 

 東別府から登ってくる別府狭間線(51号線)の河内トンネルから、広い通りをあえぎあえぎ登り、高速道路の下をくぐり、ぐるりとループをまわり、さらに少し登ったところが鳥越峠なのであるが、この道を真っすぐ行けば大分に達するところを、そうはせずに、鳥越峠を越えたところで右折して狭い道路に入る。

 

画像:GoogleMap, 2021

画像:のの字な道 | 鳥越峠橋 (rasandroad.com) 鳥越峠のループ

画像:GoogleMap,2021 鳥越峠。この地点で右に曲がる。別府の隠れた景勝地「内成棚田」ハイキングで楽しむ季節の風景 | 大分県

 

 これから先はうんざりするような山道だ。なんの変哲もなく、しかもどこまでもうねうねとした山の道。

 

 やがてバスは山から少し下った曲がり角で止まった。いままで寡黙だったバスの運転手が教えてくれる。「ここが水無しの滝だ」。

 

画像:水無しの滝 別府の隠れた景勝地「内成棚田」ハイキングで楽しむ季節の

風景 | 大分県  田植えのときは、水がなくなり、滝が消えてしまうから水無しの滝

 

 バスの運転手が続けて言う。「このあたりを散歩されるほうがよいですよ。私はもう少し走って行って、終点で折り返してきますから、まあ、15分後には帰ってきます。」

 

 

 そして見た風景がこれだ。

 

 

 もちろん今は秋である。水稲の代わりに稲を刈り取った後の田んぼと、ゆらゆらと薄煙を上げて燃えるもみ殻の山だ。だがこの風景は巨大だ。

 

 私が感心するのは、棚田を作るその石垣である。一枚の田んぼの幅に匹敵する高さの堤が石で築かれているのだ。それも尖った黒い、あきらかに火山の爆発で飛来した火山岩である。私はこれらの黒い岩石堤は阿蘇山の噴火の際に飛来した岩石を集めて組んだ構築物であるとしか考えられなかった。じっとみていると、これらの多数の堤は、エジプトのピラミッドか中国の万里の長城に似た、多数の農民の汗と血で構築された建築物だとしか思えなくなってくる。多数の人力による巨大な構築物だ。

 

 

 

 帰りのバスは梶原というバス停で約15分後に乗ったが、バスの運転手が語ってくれたところによると、今は収穫後で、放置してある棚田だから汚いが、田植えのころはまことに美しいのだそうだ。

 

画像:GoogleMap,2021

 

 彼が思い出したようにポツンポツンと語ってくれるには、秋の収穫期、9月末に、この棚田は彼岸花が咲き乱れて、とても美しい、と。

 

 

 いや、なんというか、素晴らしい。山の中に楽園を見つけたというか、鎌倉時代以来営々と建築を続けて作られた石垣が素晴らしい。歴史の重みをずっしりと感じましたよ。見事!!

 

 帰りは河内のトンネルのところで降ろしてもらい、別府の街をブラブラ歩いて家まで帰りました。それでも実質の歩き時間は僅か2時間半くらいなのです。別府に来てから随分身体が頑丈になりました。お蔭様で。

 

 では皆さま、御機嫌よう。

 

追記:

 

 2022/08/26発表になったが、亀の井バス内成棚田線が831日を以て廃止されることが報道された。詳しくはcommubus.pdf (city.beppu.oita.jp)を見よ。