城下カレイ

2021/01/16

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 昔、銀座の高速道路下の料理屋で、同僚が日本料理をおごってくれたことがあった。同僚はどうやら料理屋のおかみと秘め事があるような雰囲気で、だから、ことのついでに私を出しにしてこの料理屋に連れてきたような雰囲気があった。

 

 私にとっては、この中年のおかみはどう考えても魅力ある女性とは思えなかったが、「ただ食い」できるのなら、そして「タダのみ」できるなら些事はどうでもよかった。

 

 

 銀座だけあって、飯はうまく、酒も上々で私はご機嫌だった。このとき銀座で味わったのが、城下かれいである。当時は「城下かれい」という魚がどういうものかまったく知識がなかったので、酒を飲みながら、おかみの講釈を聞いた。お城の下に真水の湧き水があってなあ、それが海水と交わる所、即ち汽水域で採れる城下かれいは日本一という講釈だった。

 

画像:二の丸館前の案内図から

 

 だから今朝11時頃、電車で別府から日出(「ひじ」と読む)に来たときには、「城下かれい」のことなぞ奇麗さっぱり忘れていた。地図で調べて的山荘に赤丸がついていたので、的山荘でうまい飯が食えそうだという簡単な思い込みでやってきただけなのだ。

 

画像:GoogleMap2021

 

 私はまず日出駅で電車を降りて、せせこましい地下道を抜けて520号線(県道520号日出港線)に出た。

 

 

 こう言うのもなんだが、この日出駅には駅舎というものが存在しない。プラットホームの端っこに小さな建物があって、階段を降りて地下道に出る。暗い地下道を海側にでるとすぐ県道に出る。まるで、戦争中の地下壕から突然地上に飛び出すような案配。ひと言でいえば「戦時中」という雰囲気である。

 

 

 日出駅の海側正面に二階堂酒造醸造所があるから、それをちらと見て、まだ時間があるから、的山荘の方へ歩き出す。

 

 

 川を渡ってすぐ右手に愛宕山蓮華寺と日出若宮八幡神社がどっしりと姿を現す。

 

 

的山荘正門

 

 

的山荘(てきざんそう)で供せられる城下かれい料理。

 

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 かれいが美味しいのは4月から7月だそうで、もっとも美味しいのは5月ということなので、今回はパスしました。的山荘は予約が必要なので、JR暘谷(ようこく)駅に近い幸喜屋で食事をなさる方が多いのだそうです。

 では皆さま、御機嫌よう。