二階堂美術館

2021/01/16

 日出の町へ行こうと腹を決めて、GoogleMapで日出駅のあたりを調べていたら、駅の近くに、二階堂醸造所とその敷地のなかに抱え込まれているような二階堂美術館を見つけた。

 

 二階堂美術館をネットで調べたら、116日に美術館で所蔵品解説があるというので、13:30に間に合うように駆け付けた。

 

 

 身体がよたよたなので、観光案内所である二の丸館でタクシーを呼んでもらって、美術館まで移動した。

 

 

 ここが有名な二階堂酒造(株)二階堂酒造 - Wikipediaの工場。

 

 Wikipediaの説明を読めば分かるが、この会社は慶應2年に設立された清酒醸造元だったが、第二次大戦中、ならびに戦後しばらくは清酒の原料米の納入が滞り、そのため1974年(昭和49年)に麦を原料とする麦焼酎製造に転換した。私が家内と結婚してから2年後のことである。だから歴史が浅い。だが、麦焼酎は全国的に爆発的なブームを呼んだ。このときに社長を務めておられたのが二階堂暹氏だったらしい。

 

 

 敷地内にある先代社長二階堂暹(あきら)氏の銅像。

 

 

 この人が二階堂酒造の六代目社長である。この人が日本画の収集を始めた。美術館の開館は平成6年(1994年)。

 

 

本日のコレクション展3の展示作品は次表の通りである。

 

 

 一階と二階の展示室をざっと拝観させていただいて、私が注目したのは

 

1.       上村松園 花ざかり 双幅

2.       前田青邨 羅馬使節

 

 

の二点であった。特に気持ちが動いたのは、「花ざかり」であった。一階展示室の奥中央に架けられていて、異彩を放っていた。

 

画像:二階堂美術館ホームページから 二階堂美術館 Nikaido Museum of Art - ーム | Facebook

 

 左から三人目が私(後ろ姿)なのだが、一同が見つめている双幅の掛け軸が問題の「花ざかり」。新収蔵品の一つというのだが、最近購入した作品らしい。

 

 

 この双幅の「花ざかり」には原本となる作品がある。名古屋市の名都美術館にある上村松園 「人生の花」絹本着色 11899年である。

 

 

 この作品を縦に二つに割って修正を加えたのが本品であるから、この双幅の「花ざかり」は「人生の花」を土台にして巧妙に作った贋作とみえなくもない。

 

 表装も明治32年当時のものとはとても思えない。現代風のデザインである。

 

 それに当館の学芸員が説明するように、これが上村松園25歳のときの作品であるとすれば、名都美術館「人生の花」の一年後の作品ということになるが、上村松園のような完璧主義者が「人生の花」の完成のわずか一年後に、自分の作品を二つに縦割りする作品を作るわけがない。

 

 上村松園の人となりについては、上村松篁「私の履歴書」uemura2 (lcv.ne.jp)を参照乞う。

 

上村松園のような根詰め型の人間が、はたして自分の作品を二つに割り、精魂込めて描き上げた帯の大部分と振袖の裏地の赤色を、無残に切り落とすという唐突な行為に走るものであろうか。

 

また、松篁氏の誕生時期との重なり合いという微妙な問題もある。

 

 

 もちろん、この新収納品の「花ざかり」は誰がみても、とてもとても魅力がある。だからこそ疑念が生じる。一度、「開運なんでも鑑定団」の安河内眞美女史に真贋の鑑定を依頼したほうがよいと思う。そうすれば、絵の具の顔料、絹の種類、署名等、細かく鑑定して真偽のほどを判定してもらえる。この作品は鑑賞者に心の安定を求めさせるほどの魅力があるからだ。また、(Abby Sciutoが詰めている)NCISネイビー犯罪捜査班分析室に来たつもりで、島津の質量分析計をこの目的のためにこき使うべきだ。

 

画像:美術館門前の彫刻 「おしゃれな渡り鳥」中村晋也

 

 でも分かんないよ。絵画は魔物だからね。ひょっとしてひょっとすると、本物ということもありうるからね。慎重に、慎重に!

  

 

 美術館に来て、突然疑念に取りつかれるという事態は、はじめてのことです。吉四六を呑んで、心を落ち着けさせよといっても無駄です。私は定年退職以降、酒が一滴も口に入らなくなった人間なのですから。こんな人間がこの美術館に来ること自体がそもそも間違っているのかもしれません。

 

 

 注:「慎重に」調べましたら、関西学院大学國永裕子氏の論文上村松園《人生の花》の制作過程に関する一試論62-4-2 (2).PDFが見つかりました。

 62-4-2 (2).PDFを開くためには、まず次のURL(関西学院大学リポジトリ)を開き、本文をクリックしてPDFをダウンロードしてから開く。

 

 注2: 國永裕子さんは現在、京都 福田美術館学芸員。

 

 

 上に述べた私の疑念は、國永裕子氏の論文がきれいさっぱり払拭してくれました。「花ざかり」は見事な本物であります。さすが二階堂さん、やりますねえ。こういうこともあり、私はこの美術館が特別に優れた美術館であることを断言します。とても小さい町にある美術館だとは思えません。一度訪ねてみられることをお勧めします。