2009/03/14
私が69歳になった年だ。なんのためにニューヨークに行ったのか覚えていない。でもニューヨークに行けば、私は必ずメトロポリタン美術館を訪れることにしている。メトロポリタンなしにニューヨークはありえない。
今回メトロポリタンで見つけたのはこの小龕だ。むやみやたらに美しい。
「マリアの聖龕」と書かれている。
この美術館に寄贈したのは、なんとアメリカの5大財閥の1つであるモルガン財閥の創始者ジョン・モルガンである。さすが、アメリカだ。大財閥の集めるものは美しさが違う、とそう思った。
上の写真を合わせると、次になる。
この聖龕はオーク材なのだが、二枚のドアがついていて、これを広げると上の写真のようになる。内部は祭壇になっていて、三位一体の造作となっているが、神、白鳩、キリストのうち、神は存在するものの、白鳩(聖霊)は本来神の胸に取り付けられていたのが、なくなっている。またキリストも神の膝前に取り付けられていたものが外れて無くなっている。残念だ。
扉の内側に描かれているのは、キリストの誕生を祝う三博士(左下)などであるが、極めて美しい。
作られたのはドイツのライン川渓谷であると説明書には書いてある。
けれども長い間デュッセルドルフに住んでいて、あのあたりの美術館は全て見ていた私にはどうも腑におちない。ライン川流域にはこのような美しい聖龕を作る風土はない。このような華美な聖龕はベルギー製、あるいはブリュージュ製と書かれているほうが得心がいく。
製造されたのが1300年と書かれているが、鎌倉時代初期にしては保存状態が良すぎることも、疑念の一つとなろう。
それにしても美しい作品だねえ。感嘆!!
続