2023_12_22 高齢者認知機能試験
2023/12/22
高齢者認知機能試験
まったく困った事態です。
年寄りの自動車事故が頻発しているせいか、政府は75歳以上の高齢者にたいして、免許更新の際に「ボケ具合判定試験」を実施することにしたのです。
アクセルとブレーキの判別がつかず、駐車場から急発進する車で病院の建物を損壊する事故が立て続けに生じているからです。
画像：相次ぐ高齢ドライバー事故
私も現在83歳になるから、自動車事故が起きる原因は痛いほど分かる。老人になると、脚力が無くなるから、徒歩で外出が難しくなる。自動車があれば、買い物にも便利だ。ついつい自動車を使ってしまう。そして自動車事故が起きる。
何年か前に事故をおこした旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長｢母子を死亡させても無罪を主張｣の例を思い出します。
老人は自分に科はなかった、と主張するものなのです。
だから政府がかように過酷なテストを老人に課す理由も充分納得いたします。
しかし、私の記事病院通いの一年で事情を説明してありますが、私は、家族の強い勧めもあって、2017年年末で車を捨てて、2018年初頭に鮫洲で運転免許を返納してしまっているのだ。ところが、これは老人の早とちりで、足がなければ、ゴミ捨てという作業もできない事態が判明し、ふたたび鮫洲に参上して原付バイク免許を取得した。
このバイク免許にも三年毎に「ボケ具合判定試験」が課せられるのである。
飯塚幸三先生はトヨタ車にのっていて事故を起こしたのだが、私は原付バイクしか使わないので。にも拘わらずきっちり「ボケ具合判定試験」が課せられるのだ。不公平だと思いませんか？
こういう私に3年ごとに更新すべき運転免許の認知機能検査通知書が届きました。
私は本屋へ行って、上の参考書を買いました。これを参考にして万が一にも不合格とならないよう、万全を期するのです。
別府ではバイクに乗らず、歩け歩け主義で通しているのですが、半年後に蓼科に帰ったとき、バイク免許がなくなると、私の生活は悲惨なものになるのです。歩け歩け主義では真尺にあわなくなるのです。
そこで勉強を始めました。
上の本を調べたら、要するにこうなのです。
四枚の絵を一分間と時間を区切って見せ、記憶させ、次の絵を一分間見せて記憶させ、小間合計十六枚の絵を見せて、約５分後に書き出させるのです。
です。この順序で書き出させるのです。やって御覧なさい、間違いなく思いだすのは大変ですよ。
実際の試験では、このような絵の組み合わせが四つあって、そのうちどれが試験に出されるのか、分かりません。
理論上は、四枚の絵を画像として捉え、パターン認識すれば良い、と考えられるでしょうが、一度やって御覧なさい。パターン認識はそんなに簡単ではありません。年寄りのボケたあたまではパターン認識は事実上不可能です。
だから、パターン認識には頼れません。この試験では合格方法はただ一つなのです。
こういう風に覚えるのです。
これらの序列を先頭の図の頭文字をつけて、（「”大砲“の場合は”た“」）、「た」行と名付けるのです。そういう変換を四回繰り返すと、次の序列が出来上がります。
た 大砲、オルガン、みみ、ラジオ
て てんとうむし、ライオン、たけのこ、フライパン
も ものさし、オートバイ、ぶどう、スカート
に にわとり、ばら、ペンチ、ベッド
したがって、一枚目を「たてもに」図と覚えるのです。
「たてもに」を頼りにして上の四枚の図を復元させるのです。
上の絵をAと名付けると、絵は四組あるので、A：たてもに、B：せとまぺ、C：きせはく、D：かかふす の四組となり、このうちどれが実際の試験で出るのか試験時間にならないと分かりません。
こういう風にして四組全てを順序良く丸暗記するのです。（図は合計56枚になります）
やって御覧なさい。地獄の沙汰ですよ。つくづく自分の能力不足を確認することができます。
はっきり言えば、このテストは「認知機能」テストではありません。絵は見せられた時に誰でも「認知」できるのです。真の問題は「認知したものを記憶」することなのです。だからこのテストは単なる「記憶」テストです。記憶した者が勝つのです。難しいのは「記憶」です。
画像：まちのお寺にある地獄絵
日本の警察官僚たちは、日本の無辜の老人達にたいして閻魔王と化し、あの世に行く手前で老人達を痛めつけるのです。
警察官僚たちは老人にたいして、「地獄の苦しみ」ではなくて「極楽の楽しみ」を与えるべきです。
幸いに私は辛うじて試験をパスしました。私の免許は原付免許でしたから、実地試験はありませんでしたが、それでも2時間半ばかり試験場で地獄の時間を堪えました。
実は前夜の暗記作業で、私はエネルギーをすべて使い果たし、試験合格の内祝いのお菓子を持ってピアノスクールに行ったのですが、ピアノ練習は精神力を使い果たしていたため実行不可能でした。代わりにおしゃべりと笑い声でたったの20分で終了となりました。
それはまるで地獄からの解放の喜びでした。
画像：『閻魔大王浄玻璃鏡図』 河鍋暁斎 閻魔様の当惑顔