観海寺

 2020/01/09

 

 

 老人は身体を動かさないと、すぐさま養老院行きになる。筋肉が衰えてしまうからだ。

 

 私が「ポツンと一軒家」というテレビ朝日の番組をYouTubeで熱心に見入るのは、山奥でお歳を召した老人達がいかにして生活を送っているかを観察させていただくためだ。驚くのは山奥のポツンと一軒家に暮らすおじいさん、おばあさん達が毎日せっせと畑仕事をしている姿だ。自分の食べる野菜を小さな畑で育てている姿は、わたしには小さな神様に見える。

 

 私も歩かなければならない。歩くだけでは駄目で、走ったらどうかとも考えている。

 

 

 この写真は昨年1215日に近所のスターバックスで撮った写真だが、別府公園越しに山のなかにポツンと一軒白いホテルが見える。ここまで登りたいとかねがね考えていたのだが、この写真を拡大してみよう。

 

 

 どう考えてもこのホテルは眺望絶景である。

 

 そこで足で歩いて行ってみることにした。

 

画像:GoogleMap, 2020

 

 

 赤い矢印が目的地である。地理院地図で調べると、この地点の標高は184mである。

 

 これはちょっと高すぎる。夏の蓼科で私が毎日散歩していたコースは標高100m差の山道であったから、184mは私の現在の能力を超える。

 

 観海寺行きのバスはないかな、と考えて調べたら、朝7時台に一本あるだけだ。観海寺下にある観海寺入口までバスで行って、そこから歩いて登ったらどうだろう、と考えていたら、妙案を思いついた。観海寺温泉の杉乃井ホテルの送迎バスを使えばよい。これならタダだ。

 

画像

 

 そこで早速別府駅まで行って、送迎バスに乗り込んだ。別府へ来てから、観海寺温泉へ行くのはこれが初めてだ。杉乃井ホテルというのは崖上に建っていて、流川通り(52号線)から見上げると、「眼前にそそり立つ」という感じだから、威圧感があって、いままで訪問を遠慮していたのだが、このバスに乗れば、標高10mの別府駅から標高135mのホテルまであっという間に連れて行ってくれる。タダだというのに運転手は極めて丁重で、愛想がいい。満点だ。

 

 画像: GoogleMap, 2020  まず別府駅まで歩く。杉乃井ホテルバス(線)に乗る。杉乃井ホテルから歩き始める。(線)

 

 

 杉乃井ホテルに到着した。このホテルは隅々まで清掃が行き届いており、見事な美しさだ。

 

 

ホテルの前には地獄蒸し釜が設えてある。

 

 

 地獄釜の背後に杉乃井ホテルの本館がある。泊まるならここに泊まりたいと思わせる重厚さがある。

 

 

 さて、私は観海寺橋まで降りてきた。右の白い建物は昔、私が高校生のころ、修学旅行で泊まった白雲山荘だ。63年前の話だ。その当時、つまり終戦後11年に、杉乃井ホテルの壁ホテルは建っておらず、この白雲山荘が辺りを威圧する巨大なホテルで、金沢からやってきた私たちには眩いような存在だった。また、このホテルから別府市を見下ろす絶景が堪能できた。63年後でもこの建物は綺麗に管理されており、私の想い出が壊されず、有難い思いだ。この建物は、今はどうやら老人ホームになっているようだ。もう少し経って私がうまく歩けないようになったら、ここに入居するのがよいかもしれない。別府駅までの送迎バスがあるから、買い物にも不自由しないはずだ。

 

 

 白雲山荘の看板が倒れている。63年よく頑張った。感謝。感謝。

 

さて、ここは地理院地図によれば、標高152mだ。ここから上り坂になる。道は一本道で別府の遊園地であるラクテンチ(標高200m)を経由して朝見の浄水場・八幡朝見神社(標高70m)まで抜けることができる。少し慣れてきたら私のマンションから出発して全行程徒歩で歩くことも可能なはずだ。

 

 

 振り返ると、現在の杉乃井ホテルだ。そそり立つ威容だ。

 

 すこし登ると美湯の宿両築別邸だ。ここまで登ると眺めがよくなる。

 

海の向こうにうっすらと見えるのは鶴崎の工業地帯だ。

 

 更に登ると景色がよくなる。

 

 

 やっと目指すホテル、HOTEL キャッスルに到着したが、残念。この絶景ホテルは閉鎖されていた。キャッスルという名前が示す通り、西洋の城郭のようにギザギザの装飾(狭間胸壁)がほどこされている。このホテルが再開されて、眺めを楽しむロビーが解放されてくれたら、楽しいだろうねえ。こういう高みでコーヒーを飲みたい。

 

 標高が高いから温泉の湯が届かないということはない。このあたりの温泉はたいてい300mほど掘るものだから、海底からくみ上げているようなもので、このホテルのすぐ上の道端にも温泉がふきだしている。別府の街から見上げると、観海寺温泉の湯気が幾筋も立ち上っているのが見えるが、こういう温泉が観海寺温泉の特徴なのだ。

 

 

 このあたりから人家がなくなり、緩やかな下り坂になる。

 

 

 ガードレイルに切れ目があるが、ここがラクテンチへと続く散歩道から外れて上原町へと降りていく小道の入り口だ。

 

 

 家はなくて、イノシシ用の捕獲檻が仕掛けてある。道はどんどん細くなって、車も通れない藪になる。

 

 

 この藪を抜けたところの崖のなかにも温泉の噴出口がある。ここを更に降りていくと、いちのいで会館だ。

 

 

 いちのいで会館の露天風呂。

 

 

 いちのいで会館である。お願いすれば安く昼食が摂れる。温泉入浴も併せ、¥1600という安さだ。このいちのいで会館は、どうやら弁当を作ってスーパーに卸している料理屋でもあるようだ。この建物にはちょっと入り辛い雰囲気があるので、パスした。

 

 

 朝見川まで降りてきたところから、上流を見上げる。HOTELキャッスルも見える。

 

 

 

 本日のコースは、はじめは杉乃井ホテルをはじめとする天国で、あとは地獄に真っ逆さまという感じだ。印象は悪いが、でも運動にはなる。杉乃井ホテル下までバスを利用して、杉乃井ホテルまで足で登ればよかろう。

 

 

 

 では、皆さま、ご機嫌よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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