金城楼2

2023/01/28

 

 食事は二階の食事室で、ここで妹の和佳子さんと、私の狙い目の従兄の娘さんと落合ました。

 

 私の若い頃からの悪い癖は、なにか一つ目の前に目標があると、それに全身全霊打ち込んでしまい、他所に目がいかなくなる、つまり一極集中型の精神構造癖があって、周囲への配慮が徹底的に欠落することなのです。

 

 

 だから、これが最後の機会だと思って、皆さまに謝りました。だが、たったこれだけで閻魔大王は許してくれるかしら。

 

 

 これは鰤(ぶり)の巻き寿司ですね。昔懐かしい味でした。盛り付けられたお皿も素敵で客人を飽きさせません。さすが金城楼ですね。皿の右に御膝掛という印刷が見えるでしょう。これが膝に架けると、袴に見える袴膝掛です。楽しいなあ。

 

 

 彩が素晴らしい。

 

 

 これはお澄まし。スープがあっさりとしてこの上ない極上の感じ。

 

 

 治部煮が押しつけがましくなくて、出てくるのですが、この器に目を盗られます。

 

 

 このあと蟹が種々の趣向で出てくるのですが、もうこの頃になると、写真を撮っておきたい欲望も吹っ飛んでしまいます。食に専念というか。

 

 食べ終わったところで三人で記念写真を撮りました。これ以上は望めない究極の金沢贅沢でした。従兄の一人娘さん薫さんは「もう60歳になっておられる」のだって、改めて、私の御無沙汰のお詫びを申し上げましたよ。

 

 私はこういう場所での着るものが見当たらぬから、洋服棚の奥を探したら、もう15年ほども前に軽井沢ショッピングプラザで買ってタンスの肥やしになっていたブルックス・ブラザーズの黒い上着が出て来たから、これを着用に及びましたが、これでブルックス・Bともお別れだな、とお別れの感慨を哀しく感じました。金城楼で最後の見せ場を飾ってくれたのです。