2019/03/16
写真:瑠璃光寺五重の塔
秋芳洞を見終って、山口市の湯田温泉に来たのだが、ホテルに入る前に瑠璃光寺の五重塔を見に来ました。
我々四人とも、この五重塔を見た瞬間に、「あっ、綺麗だね、美しいね」と感嘆の声をあげました。すらりと細身で、パリのオートクチュールのファッション・モデルを見た感じ、と言えばいいのかな。国宝です。
山口の瑠璃光寺の五重塔。逓減率は0.68。すらりと細身に見える塔の代表だ。長く美しい曲線をもつ軒が、上に向かって少しずつ小さくなっていき、優雅な印象を生んでいる。バイオリンの独奏のような、上品なリズムを感じとれる。(「五重塔 NHK美の壺」NHK出版、2008, P34)
写真:そういえば、擬宝朱高欄(ギボシコウラン)が二階部分にしかついていません。
それがスリム・スタイルに見える原因なのかも。
五重塔というのはお釈迦様の墓で、スツーパ。お釈迦様の墓はもともとは、インドのサンチ―のスツーパのように、ただの土盛りだったのですね。以下、参考になりそうな写真を数葉並べておきます。
写真:2011年2月19日撮影 サンチ―のスツーパ。建造は紀元前3~前1世紀。天辺に高貴な人を陽射しから守る目的の傘蓋(さんがい)がついている。これが法輪(九輪)に変形した、と言われている。
写真:2007年9月17日撮影。シャティアールの岩絵。
描かれているのは、風鐸が沢山取り付けられた七重の傘蓋とその頂から幡(ばん)をたなびかせたストゥーパ。この時代になるともうただの土盛りではなく、二階建ての建物の上に七重の法輪が乗ったもののように見えます。左側に菩提樹の下で悟りを開いた釈迦を拝む信者が描かれています。右側は鐘楼かな(参考) 描かれた時代は何時かは分かりません。2ないし6世紀か?
画像:シャティア―ルの位置。イスラマバードから
北上するカラコルム・ハイウエイにある。
この道は仏教北伝の道ですから、多分塔頂に法輪のついたスツーパはインドから北回りで日本に向かったと推測できます。
中国には石造りの塔はかなり沢山ありますが、木造の塔はありません。例えば次。
写真:2004年5月26日撮影。福建省福州市烏塔(正式名は崇妙保聖堅牢塔)
799年に最初の石塔が立てられ、現存する八角七層の塔の原型は941年に建立。
写真:同上。
韓国には歴史は古いが、再建時期の新しい木製五重塔がただ一つありますが、これは日本の五重塔の建築構造とは大幅に違うようで、日本の五重塔と同じとみなすことはできないようです。
画像:法住寺捌相殿
画像:
五重塔問答はさておいて、私たちはホテルに到着しました。
私たちが予約しておいた部屋は新館の特別室です。なんとまあ、広々としていること。そしてなんと、部屋のなかに露天風呂が設えてあるではありませんか。ゴージャス!!
食事は部屋食で、フグ鍋コースにしました。聞きましたら、フグは11月から3月までの季節限定の食事だそうです。昔、八幡製鉄でご接待を受けたことがあり、そのときはフグ鍋でしたので、ついつい、フグ料理はいつでもあるものだと思い込んでいました。
でも「ふぐはとても旨いか?」と問われると、「さあ、どうかな?」と考え込んでしまいます。
ふぐ鍋のあとで出てきたふぐのから揚げが、一番美味しかったような気がします。でも、山口県に来たなら、ふぐ料理は必ず食べておかねばなりませんからね。
大きな岩風呂もとても気持ちよかったし、秋芳洞を歩いて疲れ切っていたので、私はベッドに倒れ込んで寝てしまいました。