2019/12/31
2. イランのウラン235濃縮施設
P187
イランのウラン濃縮施設はナタンズ(Natanz)とフォルドー(Fordow)の二か所であるが、
画像:Natanz。GoogleMap, 2019
宗教都市コム(Qom)の近くにあるフォルドー(Fordow)は旧イラン革命防衛隊基地の地下に造られたウラン濃縮施設である。深度投下爆弾を避けるため、砂漠の地下深くに設置された。
設置されたのは、128本の列に並べられていた2万本の遠心分離機で、このウラン濃縮施設が、某年某月、何者かによってコンピューターセンターにインターネット経由で忍び込まれ、malware(不正プログラム)を植えこまれ、操業中に異常な回転速度により破壊された。多分イスラエルが暗号を解読してmalwareを植えこんだものと推定されている。(こういう事実は、すなわち諜報活動の成果は、成功した場合も一般には公開されない。逆に相手方から攻め込まれた場合にもその詳細は公開されない。) (参考1:)(参考2:STUXNET )
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一方、ナタンズでは、(”The Fox”では述べられていないが)イランは米国の経済制裁を嫌い、破壊された遠心分離機の新たな設置を開始した。これもいずれはイスラエルによる破壊対象になるのだろう。
イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設では4日月曜、新世代型の遠心分離機IR6の稼動が開始されました。NATANZ URANIUM ENRICHMENT FACILITY
https://www.youtube.com/watch?v=Oixi_PcxSLU
2019/11/05投稿YouTube記事
イランは経済制裁にも懲りることなく、2019年末、原子爆弾の製造に使われる濃縮ウランの製造を再開したようだ。
画像:Qom Carpet
昔はQomといえば手織りの絹絨毯が有名だったが、現在はウラン235が製造されている。私としてはコム絨毯のほうが艶があって美しくて好もしい。こんな感傷はもう許されないのだろうか。
3. Gazpromの黒海横断ガスパイプライン
Blue Stream 2002年に完成し稼働開始した。
TurkStream 現在建設中で2020年に稼働開始予定。
の二本がある。
P304
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このうち既設のBlue Streamが誰かのスパイ行為によって海中で爆破され、使用不可能になっている(らしい)。西側の誰か(USA、イギリス、イスラエルのどちらかと推定される)が、インターネットを使って、ロシアのKrasnodarにあるパイプライン中枢施設のコンピューターセンターに、malwareとかトロイの木馬を送り込んで機能不全を起こさせ、パイプラインを爆発させた(らしい)。
注1:海中パイプラインが爆発すると、海水がパイプライン内部に流入し、海水中の塩分による腐食によりパイプラインは爆発箇所のみならず、全体で使用不可能になる。
注2:”The Fox”によるパイプライン輸送ガスの記述には明らかに間違いがある。著者はNatural GasとPetroleum Gas(LPG)を混同している。通常Petroleum Gasはプロパンand/orブタンガスを意味するが、シベリアは極寒であるから、プロパン/ブタンは凍結してパイプラインでは運送できない。パイプラインで運送できるのは、天然ガスすなわちメタンガスのみである。
そこでロシアは別にTrukstreamの建設を開始し、2020年に完成する予定である。爆発したBlue Streamパイプラインは撤去することなく、並行してBlue Stream2を建設するという。