2020/01/30
出典:地熱エンジニアリング(株)HP
日本には、2002年8月現在で、18個所で地熱発電が行われており、その設備容量の総計は50万キロワットを超えています。一方、世界では、20カ国で地熱発電が行われており、その総計は約800万キロワットとなっており、現在も各国で建設が進められています。
日本の地熱発電所(2016年度運転状況)は同じホームページに載っていますが、大分県関係を取り出してみますと、次のようになっています。
発電所名 開発企業名 発電認可出力(MW)
件数だけで言うと、(2016年度では)全国の地熱発電所総計40のうち18件が大分県ということになり、大分県の地熱立国というスタンスがはっきり窺われます。
大岳、八丁原、滝上は蒸気井戸から噴出する蒸気で発電ローターを回転させる大型の地熱発電所ですが、そのほかの発電所はバイナリー・システムといって、低沸点の熱媒体を用いて、温泉の熱水を利用する小型の発電です。バイナリーで大きいのは菅原バイナリーで4.4MWですが、これはバイナリーとしては日本最大です。
バイナリー発電の原理については九州電力が簡潔に説明しておりますので、それをお読みください。
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バイナリー発電とは
バイナリー発電とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル(Binary※ -Cycle)発電と呼ばれており、地熱発電などで利用されています。
地熱バイナリー発電では、低沸点媒体を利用することにより、媒体の加熱源に従来方式では利用できない低温の蒸気・熱水を利用することができます。
発電システムとしては、加熱源としての蒸気・熱水サイクルと代替フロンを用いた媒体サイクルで構成されており、これに対して、従来方式は蒸気・熱水サイクルのみで構成されています。
今回の山川発電所の実証試験においては、地下に還元する熱水を気水分離し、加熱源として使用することとしています。
(筆者注:山川発電所は指宿にある地熱発電所のこと。)
通常の地熱発電所での使用後に還元井に戻される熱水から、沸点の低い熱媒体(n-PentaneとかHFC245fa(代替フロン))を利用して、もう一段エネルギーを搾り取る、という構想です。とことんやりますねえ。
別府の街には、温泉水を使うバイナリー発電所が数多く見受けられます。二三の例をあげますと、
1) 杉乃井発電所 杉乃井ホテルの電気源です。
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2) コスモテック別府バイナリー 売電目的です。
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私は自分の健康のために散歩を日課としているのですが、先日散歩の途中で、上の表に載っていないバイナリー発電所をみつけました。
画像: 2020/04/04撮影。夢幻の里春夏秋冬にて。Kobelco Microbinaryとはっきり明示され
ています。無人です。
右側の鉄管から高温の温泉を引き入れているように見えます。奥の機械はフロンの冷却機です。空冷ですね。
KOBELCOのプラントには二種類あって、
MB-70H 温水熱源 72kW(定格出力発電)
MB-125S 蒸気熱源 125kW(定格出力発電)
ですが、夢幻の里春夏秋冬で使われているのは熱源からみてMB-70Hのようです。約100所帯分の消費電力を賄う規模なのかな。夢幻の里春夏秋冬では使いきれない電力量ですから、当然九州電力に余剰電力を買い上げてもらっているものと思われます。