堀田・観海寺の散歩(2)

 2020/04/03~17

 

 

 高速道路を渡る橋のたもとに古い仏碑とともに、火焔を背にした青面金剛(しょうめんこんごう)かと思われる像が建てられている。これは明治時代に建てられた日露戦争戦没者慰霊碑なのであるが、庚申信仰だとすれば、彫られているのは青面金剛で、青面金剛ならば身体は青色のはずなのにこれは赤色だ。それにしてもいわくありげな彫刻だから、この像の因縁をどなたか識者にお聞きしたいところだ。

 

 

 また、こういう石仏も並べられている。想像だが、隣の高速道路が切通しとして切り開かれたときに、付近に散在していた石仏を橋のたもとに集めたものだろう。古色もあり、まことに風雅だ。

 

 

 この慰霊碑から本道を離れて高速道路沿いに南に向かうと、しばらくして「夢幻の里春夏秋冬」という優雅な名前の立ち寄り湯に至る。桜に彩られた落ち着いた雰囲気が好もしい。

 

 一方、高速道路をまたぐ橋を渡り終わってすぐ右手に回り込み、高速道路沿いに南に向かい、高速道路下のトンネルをくぐって左折した先に五湯苑(立ち寄り湯)があり、西日本地熱発電(株)の地熱発電所(参照)がある。

 

 また、トンネルを潜らずに斜面を降りて行くと、杉乃井発電所に至る。

 

 写真:GoogleMap 2020より借用。発電機は右の建物の中にあるらしい。

 

 

 申し上げておきますけれど、これらのバイナリー・システム発電所には私はまだ行ったことがありません。でも、興味深いですね。杉乃井ホテルの工事が終わり次第、行きたいと思っています。

 

 

 これらの秘湯と発電所を見物するのではなく、高速道路上の跨架橋からそのまま坂道を下っていくと、海雲寺の手前で「天満天神宮参道」と書いた白い道標がある。この三叉路を右に入っていくと、

 

 

石垣原古戦場と書いた大きな石柱にいきあたります。正確に言うと、これは「戦場」ではなくて、大友義統本陣の跡なのです。標高240mにあるこの本陣は地理的に敵方黒田如水軍の本陣(170m)よりも、七つ石の戦場(97m)よりも地形的な優位性がある、と思われます。なぜ義統は死ぬために山を降りなければならなかったのでしょう。

 

 こういう疑問は愚問ですから無視することにして、この古道をたどっていくと、天満天神宮に至ります。この神社は小さくてしょぼくれた社殿なのですが、室町時代文明4年(応仁の乱の最中)からの歴史をもつ神社ですから、歴史の重みをずっしりと感じさせてくれるお社です。

 

 

お社境内の右側に宗像掃部(かもん)の墓があります。

 

  

 掃部の墓は壇上の一番左の五輪(注:矢島嗣久論文)。質素な墓ですが、石垣原の合戦で無念な非業の死を遂げた掃部をいかに当時の人たちが愛したか、それははっきりと分かります。

 

 

 さて、本道にもどり、一区画下に海雲寺があります。

 

 

 このお寺も古色あふれるお寺ですね。私はこの境内で古い仏像やお墓を眺めるのが好きです。もうすぐ寿命が尽きる人間の持つ感慨なのでしょうか。

 

 

 ここからあとは杉乃井ホテル前を抜ける真っすぐな広い道路になります。新型コロナの影響でほとんど人影は絶えていますから、コロナ・ヴィールスの心配をする必要はありません。杉乃井ホテル手前の左、駐車場の奥手に素晴らしく景色の良い区画があります。

 

 

 誰も這入ってくる場所ではありませんから、暫しこの美しい景色を一人占めして、また、歩き始めます。坂が尽きるところに小さな公園があって、再び大友軍の陣地跡です。つまり、慶長5年(西暦1600年)旧暦9月10日、大友軍は先ほどの高速道路の跨架橋からこの地点まで約1kmにわたり陣地を敷いたのです。現地を訪れた方はきっと納得してくださるでしょうが、下から見上げるととても峻険な地形です。

 

 

 吉弘陣所跡の近くにも数々の石碑が並んでいる。江戸時代はこの高台を西を南立石村、東を坂本村と言ったらしいが、この一帯に沢山の石碑、石仏が立ち並んでいたようだ。

 

 教育委員会の掲示があります。

 

 

吉弘嘉兵衛統幸を悼む文言が綴られています。

 

 

 さあこれで本日の歴史散歩はお仕舞です。あとは坂道を降りて、途中で海鮮市場と称するスーパーで買い物をして、別府公園を抜ければ、約三時間の散歩は終了です。最近はこの程度の散歩でも身体が保ちます。歴史を繙きながら歩くのは身体にも頭にも好いようです。

 

 

 

 でも、なんだか石垣原の合戦の要領が私の頭に入ってきません。そこで、詳しく調べることにしました。国立国会図書館のデジタルコレクションのなかに黒田家譜がありましたので、これを次に詳しく調べます。

 

 

 

 

 

 では皆さま、ご機嫌よう。