2021年夏所感(8)

2021/09/11

 

 2001年9月11日の米同時多発テロで2機の旅客機がワールドトレードセンター(WTC)ビルに相次いで突入して大火災が発生し、数時間後にWTC南棟が崩壊した様子(20010911日) 【AFP=時事】

 

 

 

 ワールドトレードセンター地区に新たに建つのは1から7まで番地とビル名が対応した7つの超高層ビル。足元にある2つのグラウンドゼロのモニュメントが痛々しい。

 

 アメリカは報復としてアフガニスタン侵攻を行い、20年にわたるアフガニスタン駐留とタリバン撲滅作戦を行った。

 

注:  

 

クリント・イーストウッド監督によるAmerican Sniperという映画アメリカン・スナイパー - Wikipediaが、(場所はイラクだが)、この報復戦を生々しく伝えている。

 

 

 

 その結果もあの結果も失敗に終わった。

 

 

 2021年8月30日のアメリカによるカブール撤退は、世界歴史上、149212日スペインにおけるレコンキスタ - Wikipedia最終段階における、アルハンブラ宮殿の陥落に匹敵する。

 

 

 アメリカはアフガニスタンでの民主主義政治の定着を狙い、人工衛星と無人機とミサイル等の最新鋭の武器を駆使し、タリバン幹部へのテロ攻撃を繰り返したが、アフガニスタンの統治権を奪取するに至らなかった。アメリカの最新鋭軍事兵器をもってしても、このちっぽけなイスラムの小国の征服に失敗したのだ、という事実をしっかり認めよう。

 

 

 

 アメリカは、20年もの間他国籍人を殺し続けた結果、「民主主義が絶対的に正しい唯一の政治形態である」という思想がカルトであることを認めざるを得ない立場に追い込まれている。第二次世界大戦終盤のドイツのヒトラー主義(「ドイツの形而上学が絶対唯一の正義」であるとするカルト)と同一の運命を辿ったことを肝に銘じなければならない。

 

 

 

 これに引き換え、日本の立場はまさに対蹠的である。

 

 

アメリカによるアフガニスタン侵攻と同じ時期に、アフガニスタン東部ナンガルハル州で灌漑事業を行ったのが九州大学の中村哲医師の業績である。時期的にも2001年から2020年とまったく一致している。

 

画像:アフガニスタン ナンガルハール州。 Google地図

 

 次の記事を是非読んでほしい。

 

 

タリバン政権が崩壊し、中村医師がアフガニスタンに戻れたのは、避難してから4か月後の20021月、中村医師による灌漑事業がはじまった。

 

 

中村哲のWikipedia記事中村哲 (医師) - Wikipediaも読んでいただこう。

 

 中村哲の思想はジョン・ロックが述べる「民主主義における新しい評価基準

     いかにしたらより良き幸福が入手できるかを考えること

と完璧に一致する。

 

 アメリカができなかった民主主義の基本的構想を、日本人の一介の医師である中村哲が、黙々とアフガニスタンに定着させたことを我々は認識すべきである。またアメリカが出来なかった「民主主義の定着」を中村哲が率先して実行したことを、私たちは全世界に対して 周知徹底させる必要がある。