卯辰山

2017/01/19

画像:11月中頃の卯辰山の紅葉。

 最近は雪が降るので朝の散歩は中止しているが、1月の10日頃までは毎日散歩に出ていた。
 まず最初に卯辰山に登るので、「卯辰山散歩」と名付けているが、地図で見るとこうなっている。

 まず山の上町交差点から出発し、小坂神社前の道を登る。汐見坂緑地、卯辰山工芸工房前を通りひたすら登る。地図上で卯辰山公園とかいてあるところが頂上で、海抜140mである。出発点が海抜20mであるから、標高差120mをただひたすら登るのできつい。冬ならば、小坂神社前でキルティングの薄いヤッケを脱ぎ、千光寺石段のあたりでセーターを脱ぎ、上半身は下着一枚になりひたすら登る。身体から湯気がもうもうと上がる、といえば大げさだが、身体から汗が出ない程度に服装を調整する。


 下着一枚というと恥ずかしい気持ちになるが、最近登山用具が発達して、極細繊維の発汗放散式の下着だとトレーニング・シャツのような外観なのでまったく恥ずかしくない。登りきるのに約40分かかる。

画像:2016年11月、卯辰山頂上付近の紅葉。昔は12月に入ると氷雨が降ったりして紅葉が萎れてしまったものだが、最近は気候変動で暖かくなったので卯辰山で紅葉が楽しめるようになった。ところによっては兼六園よりも美しい紅葉が楽しめる。

 一年前までは卯辰山頂上まで登ってイタリア語の朗読練習をしていたのだが、最近はイタリア語はやめて、汗がひくまで一休みするだけで、セーターを着て、すぐ出発する。天神橋に向かって降りて行く。花菖蒲園を抜けて、新築された六角堂の下の階段を下りる。

画像:卯辰山花菖蒲園。11月から藁を敷き詰めて、春の開花準備をしている。ところどころに「イノシシ退治用の」白い石鹸が置いてあるのが滑稽だ。

画像:天神橋からの眺め。天神橋は、昭和28年に集中豪雨による大洪水があって、古い天神橋は流された。新しい天神橋は鉄のアーチ橋で昭和30年に造られた。私が15歳の時に作られたのだ。私はいつも天神橋までくると立ち止まって上流の景色を眺める。まるで公園を眺めているような美しさがある。

 降りてくるのに約25分ほどかかる。天神橋まで降りてくると市街地となる。
 ここから市街地のなかを歩き、金沢城の大手門まで歩く。このあたりは私の生家があった場所で、私はこの同じ道を4歳のころ西本願寺藤陰幼稚園まで毎日通ったし、その後も女子師範付属幼稚園、小学校、中学校に通うのに、この道を歩いたので、私の身体が覚えている懐かしい道なのだ。

画像:大手門から金沢城に入る。まず広々とした新丸広場に出る。写真に見えているのは新丸広場から三の丸広場に上がる坂と河北門である。最近復元された建物である。

 この河北門は通らずに、私は新丸広場を斜交いに横切って、管理事務所下の階段を登る。この階段は計44段もあり、散歩の後半部分のなかではもっともきつい登りだ。すると旧第六旅団指令部の古めかしい建物が見えてくる。私はこの司令部の建物の横を通るが、ここが散歩道後半の最高点である。標高は知らないが、かなり汗をかく。

画像:旧第六旅団司令部裏から見る玉泉院丸庭園。

画像:玉泉院丸庭園。とても美しく設えてある。もうすこし樹が育ってくれれば、ここも紅葉の名所になるだろう。

 ここまでくれば終点の日銀前バス停までは指呼の間である。木製の階段を下りて玉泉院丸庭園を抜けて、いしかわ四高記念公園を抜け、デパート大和の店内を抜けて横断歩道を渡れば、終点のバス停だ。出発点の山の上交差点から1時間40分である。この間、だれとも話さず、ひたすらもくもくと歩く。私は昔から寡黙の人間だから、こうやって一人きりで誰とも話さずに歩くのは私の好みに合っている。坐禅時間で線香二本分の黙行である。身体がきつくてもじっと我慢するのも坐禅に似ている。

 

 バス停でバスを拾い、山の上交差点まで約10分でこの日の散歩は終了する。あまり疲れていないが、軽く昼食をとってから、昼寝をする。